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広島地方裁判所 昭和52年(わ)163号 判決

本籍

福山市入船町二丁目一、〇一六番地の七

住居

同市入船町一丁目五番十七号

会社役員

小林義人

明治四二年六月二二日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は検察官西正敏出席のうえ審理をして、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役八月及び罰金五〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは金一万円を一日に換算した期間、被告人を労役場に留置する。

この裁判の確定した日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、福山市三吉町南二丁目六番八号に事務所を設け、左官材料販売業を営んでいた者であるが、売上の一部を除外し、偽名の定期預金を設定するなどして所得の一部を秘匿したうえ所得税を免れようと企て、

第一  昭和四八年分の総所得金額は別紙(一)昭和四八年度財産増減表並びに総所得金額計算書記載のとおり三一、六七一、七四三円で、これに対する所得税額は別紙(四)税額計算書記載のとおり、一五、一三七、八〇〇円であるにもかかわらず、翌四九年三月一三日、同市東桜町五番一一号福山税務署において、同税務署長に対し、その総所得金額が五、四九四、七一八円で、これに対する所得税額が一、〇〇五、五〇〇円である旨の金額過少の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により差引一四、一三二、三〇〇円の所得税を免れ

第二  同四九年分の総所得金額は別紙(二)昭和四九年度財産増減表並びに総所得金額計算書記載のとおり三七、六九五、四四五円で、これに対する所得税額は別紙(四)税額計算書記載のとおり一七、二四四、〇〇〇円であるにもかかわらず、翌五〇年三月一三日、同市三吉町二丁目二五〇番地の三福山税務署において、同税務署長に対し、その総所得金額が四、〇五三、六五六円で、これに対する所得税額が四四七、三〇〇円である旨の金額過少の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により差引一六、七九六、七〇〇円の所得税を免れ

第三  同五〇年分の総所得金額は別紙(三)昭和五〇年度財産増減表並びに総所得金額計算書記載のとおり二一、九四一、〇六六円で、これに対する所得金額は別紙(四)税額計算書記載のとおり七六八五、一〇〇円であるにもかかわらず、翌五一年三月一三日、前記第二掲記の福山税務署において、同税務署長に対し、その総所得金額が三、四八九、〇九四円で、これに対する所得税額が二六七、三〇〇円である旨の金額過少の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により差引七、四一七、八〇〇円の所得税を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

被告人の当公判廷における供述の他

公判調書記載の検察官請求証拠等関係カード記載の証拠標目番号1乃至4249乃至168と同一であるからここにこれを引用する(但し、ここで立証趣旨欄公訴事実の別第一、第二、第三は判示第一、第二、第三の各事実と対応し、同欄〈1〉〈2〉‥の各記載は別紙(一)、(二)、(三)財産増減表記載の各勘定科目番号を示す)。

(法令の適用)

被告人の判示各所為はいずれも所得税法二三八条一項に該当するところ、情状によりいずれも懲役刑と罰金刑とを併科することとし、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、懲役刑については同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重をなし、罰金刑については同法四八条二項により、その合算額の範囲内で処断することとし、同法四八条一項により右懲役刑と罰金とは併科することとし右刑期並びに金額の範囲内で被告人を懲役八月及び罰金五〇〇万円に処し、右罰金を完納することができないときは同法一八条一項により金一万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することとし、情状により同法二五条一項を適用して、この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予することとする。

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 正木勝彦)

別紙(一)

財産増減表

昭和48年度

総所得金額計算書

昭和48年度

別紙(二)

財産増減表

昭和49年度

総所得金額計算書

昭和49年度

総所得金額計算書

昭和50年度

別紙(三)

財産増減表

昭和50年度

別紙(四)

税額計算書

上段( )書は計算上の数値を表わす。単位円。

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